2021/08/04 00:58
ラオス中部、ボリカムサイ県カムクード郡(ラクサオ)のチェーンサワン村というところにチャップさんという女性がいます。
ベトナム国境沿いの山あいにあるその場所で、村の植物を使い、彩りゆたかな色を生み出しています。
水色:ソメモノカズラの葉っぱ
深いピンク:カリン(マメ科)の木の皮
グレー:サルスベリ
ベージュ:ハード(ラオ語)の木の皮
淡いピンク:蘇芳
昔は天然染色を親から受け継ぎ、おこなっていたチャップさんでしたが、手間やコストがかかることから、近年はやめてしまっていました。
しかし、そんな手づくりの色にこそ価値がある、と思った彼女は、伝統復興をめざし、2018年の暮れから再び天然染色を始めました。
まずは、村にある植物を1つ1つ集めては染めるということを繰り返し、どの植物が良いか、どの色が良いか、試行錯誤をしました。
染色は、材料の重量や煮る時間、媒染の方法など、あらゆる要素が組み合わさっているため、「やってみないとどんな色になるかわからない」という側面もあります。
納得できる色になるまで、その大変な作業をやり続けました。
そして、"これぞチャップさんらしい"と感じられるような、優しいけれどとてもあざやかで美しい色ができあがりました。
その中でも特にカリンは、チャップさんの村があるラオス中部に多い木のため、地域ならではの色でもあります。
落ち着いた赤のような、ピンクのような色は、暮らしに溶け込みながらも、彩りを添えてくれる色のように感じます。
また、チャップさんは自身の民族であるタイ・ムーイ族の民族柄をモチーフにした布を、草木染めした糸を使い織っています。
自然や動物などをモチーフとして織られた布は、神秘的な美しさを感じます。
これからもチャップさんが生み出す色と柄で、暮らしに彩りを添えられるようなものづくりを続け、たくさんの方に届けていけたらと思っています。
*チャップさんの布を使った製品*